
脳神経のセルフケア⑨副神経
2022/10/14 【 症状と療法 】
脳神経のセルフケア9
今回は、首周りや喉の奥に分布する神経、「副神経」についてシェアします。
<セルフケアでできること>
・肩こりの改善(筋力低下によるもの)
・頻繁な寝違えの改善(筋力低下によるもの)
・嚥下障害の早期発見(飲み込みづらい)
・発声障害の早期発見(かすれ声)
・消化障害の早期発見
・自律神経障害の早期発見
・急激な心拍数の低下や血圧の低下による事故を未然に防ぐ
副神経は、肩こりや首こり、自律神経症状と関連がある神経です。
異常の早期発見は早期回復に繋がりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
副神経 とは
副神経は、首にある頭を動かすための筋肉や、喉奥の筋肉を働かせる神経です。
僧帽筋や胸鎖乳突筋の筋力低下により起こる、肩こりや首こりは、副神経の機能低下を疑います。

また副神経は、喉奥で迷走神経と合流するため、迷走神経の機能を合わせて考えます。
迷走神経 とは
(前回から抜粋)
迷走神経は、咽頭、喉頭、食道上部1/3などを支配する運動神経と、胸部~腹部の内臓や心臓、血管などを支配する副交感神経に影響を与えます。
肺や気管支、消化器などを制御することから、嚥下や発声、消化管の蠕動運動などに関係する働きをします。
迷走神経が刺激されることによって、自律神経のバランスが崩れることを、迷走神経反射といいます。
これは、一時的に心拍数が減ったり、血圧が下がったりする病態です。
発症により危険を伴うことがありますので、心あたりがある方は脳神経科を受診するようにしてください。
副神経のセルフケア法

左:僧帽筋のチェック法 / 右:胸鎖乳突筋のチェック法
僧帽筋・胸鎖乳突筋の弱化を、⇧の要領で確認してください。(各1秒程度)
*青矢印は、赤矢印の力を確認するために行っています。
「押さえる=固定」のイメージで行なってください。
正常であれば、痛みもなく、青矢印を押し返すことができます。
<チェックポイント>
・赤矢印方向に動かす時に、痛みは出なかったか?
・青矢印を押し返すくらいの力があったか?
迷走神経のセルフケア法
鏡の前で口を開け、「あ~~~~」と言ってみてください。
正常であれば口蓋帆(こうがいはん)は、左右とも上に上がります。
異常がある場合は、片側だけが上がります。
<チェックポイント>
・口蓋帆が左右とも上がるか?
注意
脳神経には、繰り返しの刺激が苦手なものと、やるほどに良い効果につながるものがあります。
副神経は、使うことが機能を維持する、リハビリ的な効果になります。
また迷走神経は、朝に顔を洗う時や、風呂上がりなど鏡があるところで、気がついたときにチェックしてみてください。
家事や育児、デスクワークで肩がこりやすい方、日頃から立ちくらみや、めまいが多い方は、毎日チェックすると良いですよ。
毎日続ける中で、もし症状までいかなくても、少しでも違和感を感じたら、できるだけ早く脳神経科を受診するようにしてください。
投稿日: 2022/10/14
脳神経のセルフケア⑦前庭神経
2022/09/30 【 症状と療法 】
脳神経のセルフケア7
今回は耳にある神経の1つ、「前庭(ぜんてい)神経」についてシェアします。
<セルフケアでできること>
・平衡覚障害の早期発見(ふらつき)
・眼振の早期発見(めまい)
前庭神経は、平衡感覚を正常に維持するために働きます。
異常の早期発見は早期回復に繋がりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
前庭神経 とは
前庭神経は、内耳神経の1つで平衡覚の働きがある神経です。
三半規管(さんはんきかん)や耳石(じせき)という言葉のほうが、聞き馴染みがあるかもしれません。
この前庭神経が、ウィルス感染などで炎症を起こしたり、外傷などで障害を受けると、平衡感覚に障害が起こり、めまいやふらつきという症状が発症します。
前庭神経のセルフケア法
前庭神経のセルフケアは4つあります。
①平衡感覚の確認(1)

目を閉じて3mくらい歩きます。
自分の思っている方向に進めたかを確認してください。
*転倒に注意してください
<チェックポイント>
・想像している方向に歩けたか?
・転倒しそうにならなかったか?
②平衡感覚の確認(2)

目を開けた状態で、30秒立ってください。
次に、目を閉じた状態で、30秒立ってください。
*転倒に注意してください
<チェックポイント>
・転倒しそうにならなかったか?
③空間認識の確認
目を開けた状態で、「物やパートナーの指示する場所を触れる」「天井を指差す」を4~5度繰り返す⇩。

次に、目を閉じた状態で、先ほどと同じことを繰り返す。
<チェックポイント>
・目の開閉に関係なく、同じ場所に触れることができるか?
④眼振の確認
眼振とは⇩のように、眼球が「無意識で動き、元に戻る」を繰り返す病態です。
座位・仰向け・横向きになり、パートナーに各30秒ずつ観察してもらってください。

<チェックポイント>
・眼振が現れるか?
注意
脳神経には、繰り返しの刺激が苦手なものと、やるほどに良い効果につながるものがあります。
前庭神経の場合は、めまいやふらつきを伴うことがあるため、症状がある時は避け、それ以外は確認程度で行うという頻度でOKです。
症状がなくても、少しでも違和感を感じたら、できるだけ早く耳鼻科や脳神経科を受診するようにしてください。
投稿日: 2022/09/30
脳神経のセルフケア⑤顔面神経
2022/09/16 【 症状と療法 】
脳神経のセルフケア5
今回は、「顔面神経」という神経についてシェアします。
<セルフケアでできること>
・表情筋の衰えの早期発見
・顔面麻痺の早期発見
・味覚異常の早期発見
顔面神経は、顔の表情を作る上でとても大切な働きをします。
異常の早期発見は早期回復に繋がりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
顔面神経 とは
顔面神経には、顔の表情を作る運動系の働きと、舌の先から2/3の味覚を感じ取る感覚系の働きがあります。

この神経に障害が出ると、顔の片側または両側を、自分の意志で表情のコントロールできなくなったり、味に乏しい生活をおくることになります。

顔面神経のセルフケア法
顔面神経のセルフケアは2種類あります。
①感覚の確認

味覚は主に甘味のチェックです。
舌先で甘みを感じることができるかの確認をしてみてください。
<チェックポイント>
・左右差はないか?
・いつもと違う味がしないか?
・いつもより味を感じにくいことはないか?
②運動の確認

鏡の前で、顔全体を使い「あ・い・う・え・お」と声を出してみてください。
<チェックポイント>
・左右差はないか?
・動かしにくいところはないか?
注意
脳神経には、繰り返しの刺激が苦手なものと、やるほどに良い効果につながるものがあります。
顔面神経は後者の、「やるほどに効果があるもの」なので、運動系は洗面所で鏡を見るたびにやってみてください。
味覚のチェックは、別の健康の問題にも絡んでくるので、程々にしてください。
表情の違和感は、疲労でも起こります。
少しでも違和感を感じたら、いつもより早く寝たり、長く睡眠を取るようにしてください。
症状が出る時は一気に悪化することもあるので、気になる時はできるだけ早く、脳神経科を受診するようにしてください。
投稿日: 2022/09/16
「歯ぎしり」が軽減するセルフケア
2022/06/17 【 症状と療法 】
あなたはどのタイプ?
ひとことで「歯ぎしり」と言っても、大きくは⇩の2タイプに分かれます。
A:前歯で歯ぎしりタイプ
B:奥歯で歯ぎしり
タイプにより、原因とセルフケア法が異なりますので、ご自身のタイプに合わせて参考にしてみてください。
A:前歯で歯ぎしりタイプ
Aは「前後の歪み」に問題がある時に起こりやすい症状です。
<Aタイプの原因例>
・イスに深く座る
・ソファーに座る時間が長い
・パソコンのモニターを覗き込んでしまう
・うつ伏せで、スマホ操作や読書をよくする
・背中を後ろからマッサージしてもらうことがある
・背骨を後ろから押す矯正をよく受ける
・肩甲骨を寄せる動きをよくする
・低反発マットレスで寝ている
・枕が高すぎる
など
人の体は、前後に歪みがあるのが正常な状態です。
⇧に挙げたものは、すべて正常な歪みを崩す行動になります。
つまり、Aタイプの方はコレらをしないことがセルフケアになります。
中には、健康に良さそうなものが含まれていますが、
「あなたの体に合うもの=健康なもの」
とは限りません。
意外なものほど、治らない原因になるものです。
Aタイプの方は、ぜひ止めるというチャレンジをしてみて下さい。
B:奥歯で歯ぎしり
Bは「左右の歪み」に問題がある時に起こりやすい症状です。
<Bタイプの原因例>
(1)
・体をねじる動き
・足を組む
・横向きのスポーツ(テニス・ゴルフ・野球など)
・片足のケガ
・歯列矯正
(2)
・「音が鳴る矯正」を年1回以上受けている
・「運動の前後以外」なのにストレッチをよくする
・横向きで寝る
など
人の体は、構造上ねじれに弱くできています。
⇧に挙げたものは、すべて左右の歪みを作りやすい行動になります。
しかしコレらはAと違い、ストレス発散や無意識で行ってしまうものまで含まれています。
そこでBの場合は、原因(1)と(2)でセルフケア法を変える必要があります。
(1)の場合は、左右の歪みに耐えられる体作りがセルフケアとして推奨されます。
具体的には、インナーマッスルを鍛えるトレーニングになります。
(2)の場合は、A同様にコレらをしないことがセルフケアになります。
歯ぎしりの原因は姿勢だけではありません
・日常のストレス
・噛み合わせ
・成長過程 など
セルフケアの話をすると、全てをそれで解決しようとする方がいますが、それは大きな間違いです。
例えば、今回であれば「姿勢」にフォーカスした内容になります。
つまり、これで治る/軽減するのは、原因が姿勢の場合のみです。
もちろん、複数の原因が重なっていて、そのうちの1つが「姿勢」の場合は効果が出ますが、会社や家庭のストレスが原因なのに、姿勢で治るなんてことは絶対にありません。
大切なことは、「原因が何か?」をしっかり見つけていくことです。
もちろん、原因をセルフケアだけで取り切れない場合もあります。
その時は、私たちのようなプロを頼って下さい。
今回の記事が「歯ぎしり」で悩む方の力になれば幸いです。
それではまた
投稿日: 2022/06/17